萎絵と浅野川の推理大作戦!・解決編

まるは

 二人は萎絵の赤いスポーツカーで岐阜へと向かった。グリーンロードから県道をひたすら走り、めざす旧家にたどり着いたときはもう、日は傾きかけていた。
 車を止め、インターフォンをならすと、上品な婦人が出迎えてくれた。これも上品な和室に通された二人の前には、15センチ立方ほどの塗装を施された箱と、高さ20センチほどの口のぎゅっとしぼられた壷がおいてあった。
「うわあ、これが「沌地の瓢」と「無茶の箱」なんですね」
 萎絵は身を乗り出すようにして、聞いた。
「いや、「無茶の箱」は実物だが、「沌地の瓢」は模型だ。実物は庭にあるんだ」
「こちらですわ」
 先ほどの婦人が二人を庭へと案内してゆく。浅野川と萎絵は黙って後に従った。
「足元にお気を付けになってください。履き物はこの下駄を」
 庭に降りた二人の目の前に、高さが5メートルはあろうかという巨大な壷があり、梯子がたてかけてあった。その口は充分人一人通れそうだ。
「先生、これ・・・」
 萎絵は言葉もでない様子で、ただ目をまるくしている。
「うん、これが「沌地の瓢」だ」
「はあ?」
「このなかに「無茶の箱」の鍵が入っている。先端はその箱の鍵穴のサイズなんだが、他の部分が大きすぎてね、口から出ないんだ。そこで君に箱を持って、中に入ってもらい、鍵をあけてもらおうってわけ」
「そんなの謎でもなんでもないじゃない!どうして今まで誰もやらなかったのよ!簡単じゃない!」
「東之園君、ちゃんと人の話をきかなくっちゃ。僕は「果たせなかった」とはいったが、謎が解けなかったとはいってないよ。いや、実はね、鳥の糞や落ち葉、それに迷い込んだ鼠なんかの死骸があの中に数百年分たまっててね、あまりの臭さに誰も入れなかったんだよ。いやあ助かるよ。ささっ遠慮しないで、ほらはいった、はいった」
(あっ、「沌地の瓢」じゃなくって「雲地の瓢」だったっけ。まあいいか)


(ふっ、糞を投げないでくださ・・・以下略)
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