名古屋おふみ密室殺人事件

竹田寿之

 名古屋おふみが終わった翌日、僕は阿東さんに電話を入れてみた。
「名古屋おふみ、楽しかった?」
「うん、楽しかったよ。森先生にサインしてもらっちゃった」
「それで、何か面白い出来事ってなかった?」
「えーっと、待ち合わせ場所に行ったら、ちょっと早く来ていたゆーりさんがトーマ君に撲殺されちゃってた」
「え゛!?」
 ぼくは一瞬驚いて、声をあげてしまったが、電話口の向こうは笑っているようだ。

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 かつがれたのかなと思いつつ、僕は尋ねる。
「どういうこと?」
「集合場所に、わざわざ森先生がトーマ君と一緒に出向いてくださったの」
「それで」
「で、ゆーりさんとトーマ君が仲よくなっちゃってね」
「うん」
「トーマ君になつかれちゃって、ゆーりさんはトーマ君のお世話に”忙殺”されちゃってた」
「あ、なるほど、忙殺ね、撲殺じゃなく」
 かくしてぼくはそれまでの某会議室での話題を伏線に、とんでもない聞き違いをやらかしたのであった。




(ごちそうさま)
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