第32回   NHKが来た 1996.10.18


 税金の法則:
  取るべきところから取るのではない。取りやすいところから取れ。
 応用編・攻撃の法則:
  攻撃すべきところを攻撃するのではない。攻撃しやすいところを攻撃しろ。
 ‥‥いや、まあ、別にいいんですけどね。とほほ。

 といった「意味不明」のマクラとはほとんど関係なく、本日のネタはこれ。

「こんばんわ、NHKです。受信料の集金にうかがいました」
「うちは払いませんよ」
「いえ、これは、見てなくても払っていただく、ということになってまして‥‥」
「見てないとは言ってないでしょう。見てます。見てるけど、払いません」
「そんな無茶な‥‥」
「だから、かまわないから、電波止めちゃってください」
「‥‥は?」
「電波をうちに送るの止めてください。電気・ガス・水道・電話なんかは、みんな、料金払わないと止められるでしょ? だから、それと同じことをしてください」
「そんな‥‥。できるわけないでしょう」
「なるほど、できませんか。すると、電波は、『管理物』ではない、ということですね。だったら、料金を払う必要はないわけだ」
「どういうことです?」
「そうですね、この例がわかりやすいかな。たとえば、私が、芳香剤を作ったとします。そして、あなたの家の近所でその芳香剤をまいた。その後、あなたの家に行って、『匂いを嗅いだのだから、料金を払え』と言います。あなたは払いますか?」
「払うわけないでしょう。大体、嗅ぎたくなくても嗅がざるを得ないじゃないですか」
「そのとおり。この場合、たとえ嗅ぎたくて嗅いだ人に対しても、料金を請求することはできないんですね。もちろん、払いたければ払ってもかまいませんが、強制はできません。なぜかというと、『料金を払った人だけに対して、選択的に物やサービスを提供する』という制度になっていないからです。NHKの電波も同じことです。だから、本当に受信料を徴収したいなら、『WOWOW』のようなシステムにするべきでしょう」
「‥‥ううっ、そんな屁理屈こねてないで、払ってくださいよ〜。ちゃんと法律にも書いてあるんですから」
「その法律というのは、放送法の第32条1項のことですね。でも、そこには、罰則規定がありませんよ。つまり、払わなかったからといって罰せられることはないわけです」
「‥‥‥‥」
「だから、払いたくなければ払わなくても何の問題もないわけです。わかってもらえましたか」
「‥‥‥‥」
「では、さようなら」

 ‥‥というような会話(多少、脚色されているが)を交わしたのが3年ほど前である。それ以来、NHKは私の家には来ていない。(実は、私の論理にはひとつ「穴」があって、『日本放送協会放送受信規約』までツッコまれたら論破するのがちょいと面倒だったのだが、まあ、相手が気づかなかったのでよしとしよう)
 もしかしたら、「確信犯的不払い者」のブラックリストに載ってしまったのだろうか。一説によると、大阪では4割が不払い者だとも言うが。
 NHK、もう一度来ないだろうか? せっかく新ネタを仕入れて待っているというのに。


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