第91回    1996.12.24


 事情があって、本日も手抜きモードである。
 どんな事情かというと、クリスマスパーティーに行ってきたのだ。といっても、普通のパーティーではない。悪魔信奉者たちの饗宴、すなわちサバトである。

 残念ながら場所を明かすわけにはいかないが、サバトがおこなわれたのはあるマンションの一室である。私が到着したときには、すでに十人近い「魔法使い」と「魔女」たちが集まっていた。照明は消され、ロウソクの炎だけがゆらめいている。
 北側の壁には祭壇が設けられ、最上部には切り落とされたばかりの山羊の首が安置されている。その下には米がまかれ、卵もあった。なるほど、生首生米生卵、ということか。

 そのうちに私は、魔女の一人と知り合いになった。私は彼女に、恋人はいるのか、と聞いてみた。
「恋人? かわいいことを言ってくれるじゃないか。でも、そうだねえ‥‥ここにいる男たちはみんな、あたしの恋人さ」
 ずいぶんと伝法な口をきく魔女である。
「すると、君はここにいる男たち全員と‥‥」
「そう、当たり前じゃないか」
 なるほど、やはりそうだったか。
「もしかして、悪魔を相手にしたことなんかは?」
「もちろん」
 魔女は答えた。
「地獄のサタンも彼氏だいっ」


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