第338回   ぼくはこんな本を読んできた  2001.7.15





 とにかく本が好きでよく読む。ジャンルは問わない。小説から漫画まで、古典的名作からやおい同人誌まで。夏目漱石から夏目房之介まで、石川淳からいしかわじゅんまで。
 今回はその中から、特に記憶に残る作品、皆様にも是非読んでもらいたい作品を紹介しよう。


『ノートルダムの毛虫男』
 ある朝、目が覚めると虫になっていた男。その姿のせいで迫害され忌み嫌われる。太陽が黄色かったので人を殺したりファーブルに観察されたり東京タワーに繭を作ったりしながら、やがてノートルダムに辿り着く。そこで一人の美女に恋をすることになるのだが……。


『雪の国から』
 国境の長いトンネルを抜けると雪国だった。夜の底が白くなった。このトンネルは青函トンネル、到着した先は北海道である。夜の底が白くなるのは、夜空に輝くオーロラのためだ。
 巨匠・川端康成が近未来を舞台に描いたSFロマン。大雪原に潜む謎の巨大生物、北海道のどこかに存在すると言われる謎の動物王国、すすきのの繁華街の一角にある謎の風俗店、そしてどこからともなく聞こえる「あ〜あ〜あ、ああああ、あ〜あ〜」という謎の歌声。富良野の地に墜落した空飛ぶ円盤が物語の鍵を握る。


『我が猫はハイである』
 マタタビで酔っ払った猫の見る夢を描いた幻想的な作品。額が広くなったり、手を貸したくなったり、長靴をはいたり、百万回生きたり、一人で歩いていったりと、多彩な幻覚の中を旅する。やがてエジプトに辿り着き、猫神バステトと対面することになるのだが……。


『東海道中ヒザゲルゲ』
 江戸時代、東海道五十三次を旅する猛と健太郎の凸凹コンビの物語。だが、五十三の宿場町にはそれぞれ怪人が待ち受けていて二人に襲いかかる。品川の宿で待ち受けるマナコルゲ、川崎の宿のウデゲルゲ、小田原のクチビルゲ、箱根のノウゲルゲ、江尻のシリゲルゲ、袋井のタマゲルゲ、保土ヶ谷のホトゲルゲ……猛と健太郎は友情パワーでそれらの怪人たちを退治し、旅を続けるのだ。
 実は彼らは赤ん坊のころに、これら五十三人の怪人にそれぞれ体の一部を奪われていた。それまでは義手や義眼を使っていたのだが、怪人を倒すごとに本当の体を取り戻していくのである。そしていよいよ旅の終着点、京都三条大橋で彼らを待ち受けるものは……。


『腐乱犬死体』
 マッドサイエンティストが犬の死体を繋ぎ合わせて作った人造人間の物語。外見は恐ろしいが、優しい心を持った人造人間である。
 何とか働き口を探そうとするが、犬のときの癖が抜けずに苦労する。やっと奉公人が欲しいという隠居を見つけて奉公に行くが、女中のおモトさんは出かけていて留守で、人造人間と隠居の二人きりである。
 隠居が「茶を沸かすからホイロをとってくれ」と言ったのを「吠えろ」と聞き違え、いきなりわんわん吠え出す人造人間。怖くなった隠居が「モトはまだか、モトは居ぬか」と言うと、「ええ、今朝ほど人間になりました」。おあとがよろしいようで。


『風邪と共にサリーヌ』
 一年中風邪をひいている、サリーヌという少女の物語。


『赤ひげのアン』
 赤いひげを持った、アンという少女の物語。


『千と千尋の髪隠し』
 髪が薄いためにカツラをかぶった、海原せん・ちひろという女性漫才コンビの物語。


『もものけ姫』
 太ももに毛が生えた少女の物語。


『となりのトトロ』
 隣に住むトトロという少女の物語。


 そろそろ紙数も尽きたようだ。この続きはまた別の機会に。




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